2017/11/18 本紙掲載 

「新聞」感想文コンクール

第17回「新聞」感想文コンクール(南日本新聞社、南日本新聞南日会主催)には、新聞記事を通した驚きや、社会への若い感性があふれる作品が寄せられた。その中から、新聞へのこだわりや熱意が感じられる作品に贈る南日会特別賞や、小・中・高7部門の1席に輝いた7作品を紹介する。表彰式は11月23日午前11時、鹿児島市の南日本新聞会館である。

審査総評

社会見つめ確かな考えを

鹿児島県小学校教育研究会国語部会長 須田木 優二氏

17回目を迎えた「新聞感想文コンクール」に2300点を超える作品の応募があった。優れた作品が多く寄せられ、児童生徒が各自の体験をもとに、素晴らしい感性で新聞を読んでいることに感心しながら審査を行った。
 全体的に感じたことは、地元鹿児島や地域の話題に関することから政治・経済の時事問題、社会の在り方などさまざまな記事の内容に目を向け、多様な角度から取り上げられていたことである。特に、北朝鮮のミサイル発射や広島・長崎の原爆の日の記事に関連した世界平和や戦争問題、生命の尊さをテーマにした作品が多かったのも特徴的であった。
 フェイクニュースの問題や他のメディアとは違う新聞の役割や働きなどについて、きちんと理解して言及した作品も多く見受けられた。そして、記事の内容をもとに、「自分はこう考える」「自分にできることは」「より良い社会を築くためには」など、自分の考えを明確にして純粋で素直な言葉で提案されていた。
 入賞作品は新聞記事をもとに、図書館での調べ学習や実際に現地を訪問して理解を深めたり、他の記事と読み比べ、新たな視点を発見したりしたことなどが表現されていた。県内の小・中・高校生の新聞への興味・関心の高さや情報をしっかり享受して自分の考えや感想を述べる力が確かに育っていることに頼もしさを感じた。今後も、発達の段階や年齢相応の好奇心、着眼点の鋭さ、柔軟な感性や発想を大切に育てたいものである。
 多様な手段で情報が得られる現代社会では、情報活用能力や言語能力の向上は欠かせない。先に文部科学省が公表した新学習指導要領の改訂案にも、新聞を含む多様な資料を生かし情報を活用する力を高める方針が盛り込まれた。
 国語科は、小5・6年で複数の本や新聞の活用、中2年は本や新聞、ネットの活用、中3年は論説や報道を読み比べて文章をまとめたり、討論したりする学習に取り組むよう明記された。新聞を身近な学習材として積極的に活用していく授業や学習が、今後も、ますます求められることになる。
 この新学習指導要領が目指す学習を実現する上で、新聞感想文の取り組みを大いに活用したい。新聞感想文は、記事の内容やメッセージを的確に捉え、自分の考えや意見と比べたり重ねたりしながら自分なりの言葉と表現でつづっていく。児童生徒は、新聞を読むことを通して、同じ記事でも見る視点や角度によって見方や考え方は変わること、また、一つの社会問題でも記事や論説、コラムでは論じ方や意見の表し方、論調が異なる場合があることを知る。その違う意見を読み解き、意見の客観的根拠をもとに自分の考えや意見を確かにしていく。
 このような新聞の読み方が、記事に表現されたさまざまな世界と自分との関わりを広げ、ものの見方・考え方を深め、読解力や思考力・判断力・表現力を伸ばし、豊かな感性を育むことにつながる。
 新聞感想文の取り組みがさらに充実・発展するとともに、児童生徒が、自分自身や社会を鋭く見つめ、心豊かに成長していくことを心から期待したい。