[退位で最終報告] 国会見解踏まえ法案に
( 4/23 付 )

 天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議が最終報告をまとめ、安倍晋三首相に提出した。

 特例法の制定を柱とする国会見解を踏まえ、退位後の呼称(称号)を「上皇」とし、象徴としての行為を全て新天皇に譲るとする内容だ。

 退位実現に必要な制度設計はほぼ整い、政府は特例法案を来月19日にも提出する方向だ。

 一方、最終報告は皇族減少対策の必要性に言及したものの、「女性宮家」創設などの具体策には触れなかった。

 皇族の減少と、陛下が望まれる「象徴天皇の務め」が「安定的に続いていくこと」を考えれば、置き去りにしていい問題ではない。

 国会見解は、女性宮家の創設を含め、安定的な皇位継承の方策を政府が速やかに検討すべき、と記していた。政府は国会見解を踏まえて法案を検討するべきだ。

 有識者会議は、昨年8月に陛下が退位の意向をにじませるビデオメッセージを発表されたことを契機に、検討を重ねてきた。

 ただ、当初から首相官邸の意向を忖度(そんたく)して議論が進められているという指摘があった。

 中間とりまとめの論点整理は、政府が検討する「一代限りの特例法」を後押しする内容だった。最終報告に「女性宮家」の表現を盛り込まなかったのも、首相の支持基盤である保守層の根強い反対への配慮がうかがえる。

 最終報告の前に明らかになった政府の特例法案の骨子案と付帯決議案も、国会見解から後退した内容と言わざるを得ない。

 「女性宮家」創設には触れず、将来の天皇退位の先例となりうることへの言及もない。

 国会見解は皇室典範の付則に根拠規定を置くことで、「先例となり得る」とする民進党と、「例外的」とする与党が折衷案ながら、合意に至ったはずだ。

 ところが骨子案は、国会見解で「天皇」だった法案名を「天皇陛下」と変更。陛下一代限りの例外的措置を強調する意図がにじむ。

 南日本新聞社の県民世論調査では、天皇陛下の退位を巡る法整備について「女性・女系天皇など天皇の在り方を含めた検討」を求める人が43.2%と最も多かった。

 「皇室典範を改正し、全ての天皇に適用する」との回答も27.3%で、「一代限りの特例法」の22.4%を上回っている。

 将来を見据え、根本的な議論を求める国民の声であろう。

 憲法は皇位を「主権の存する日本国民の総意に基く」と定める。国会はこの原則を忘れず論議してもらいたい。