[「退位」意見聴取] 党利超え真摯な議論を
( 2/22 付 )

 天皇陛下の退位の法整備を巡り、衆参両院の正副議長が各党派から個別の意見聴取を行った。

 自民党は「陛下一代限りの特別法が望ましい」と主張し、公明党、日本維新の会、日本のこころが同調した。

 これに対して民進党は、皇室典範改正による恒久制度化を求めた。共産、自由、社民党が同様の主張をしている。

 与野党の溝の深さがあらためて浮かび上がったと言える。

 正副議長は3月中旬ごろ、国会の見解をまとめる見通しだが、妥協策を探る協議が難航することは避けられない。

 天皇の地位は「国民の総意に基づく」(憲法)ものだ。このため国会で圧倒的多数だからと言って特別法の支持派が押し切ることはできない。

 与野党には象徴天皇制の安定的な存続に向け、党利党略を超えた真摯(しんし)な議論が求められる。

 特別法制定を目指す自公両党は、皇室典範の付則に根拠規定を置く方向という。

 皇位継承は、典範によると定める憲法との整合性の観点から「特別法は疑義がある」(民進党)との指摘に配慮したためだ。

 加えて典範に根拠規定を置くことは先例の意味合いを強め、将来の天皇の退位に道を開くことにつながる。典範改正派の説得材料にもなるというわけだ。

 ただ、各種世論調査では退位の制度化を求める声が根強い。国会はこうした「ねじれ」をどう克服するのかが問われる。

 自民党は、幹部だけでの懇談会で早々に特別法支持の結論を出した。

 安倍晋三首相には結論を急ぐ事情がある。立法化の作業がずれ込めば、衆院解散の時期や憲法改正論議に影響を及ぼす可能性が出てくるからだ。

 だが、「特別法ありき」で突き進めば、国民の理解は得られまい。まして水面下の駆け引きで決着させることは論外だ。

 政府の有識者会議は先月の論点整理で、退位の制度化には「具体的な要件の規定は困難」とするなど多くの課題があるとした。

 これには「要件を定めておかないと、恣意的な退位などの恐れが強まる」との疑問の声が専門家から出ている。国会はこうした指摘を踏まえて、きちんと検証することが大切だ。

 皇族の減少に対応するためには、女性宮家創設などが避けて通れない検討課題である。

 与野党は、課題の先送りに終わらないよう議論の場を国会に設けることが求められる。