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 芥川賞と直木賞を同時に射止める。しかも15歳の女子高校生が―。マンガ大賞2017を受賞した「響~小説家になる方法~」の主人公は突如文壇に登場して台風の目になる。

 「圧倒的な才能を描きたい」。作者の柳本光晴さんが物語の狙いを話している。それにしても大胆な発想には面食らうが、表現の道を一心に追い求める姿は力強い。読者は主人公が秘めた可能性を信じて固唾(かたず)をのむのだろう。

 将棋界に現れた新星は漫画をしのぐ活躍ぶりだ。中学生の藤井聡太四段である。史上最年少の14歳2カ月で昨年10月にデビューすると、ほとんどが格上との対局を制し、公式戦の連勝を18に伸ばしている。

 初戦で77歳の加藤一二三・九段に挑んだ。それまでの最年少記録を持つ元名人は「素晴らしい才能の持ち主だと思います」とうなった。正確さと速さを競う詰め将棋で培ったという終盤の強さは、とりわけ折り紙付きだ。

 インタビューを受けるときに見せる伏し目がちな表情があどけない。それでいて「望外の結果」と大人びた言葉で対局を振り返る。先輩への敬意がにじんでいるようで、すがすがしい。

 これまでに公式戦を戦った棋士の平均年齢は40歳である。快進撃の陰に勝負の世界の厳しさと、第一線で戦い続けることの難しさを思う。きょう、19連勝を懸けて対局に臨む。生身の人間だけが持つ可能性の大きさに胸が高鳴る。